カテゴリ
以前の記事
2020年 09月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 2005年 01月 2004年 12月 2004年 10月 2004年 09月 2004年 07月 2004年 06月 2004年 03月 2004年 02月 フォロー中のブログ
CATTI DOMUS:... ガス給湯器 S.Y.'s Blog 女プログラマってどうよ? 不確かな軍事情報 夢見るかえる 内科開業医のお勉強日記 スポーツ内科医の日記 こどものおいしゃさん日記... 東方千年帝国協会 ちびログ ある脳神経外科医の毎日 るなのひとりごと qq14 テノリ外科医 (旧)とりあえず俺と踊ろう 病院内での阿呆な話 社団法人 全日本麻酔科学会 のんのんき日記 電脳麻酔ブログ 漂流生活的看護記録 nikoのMY BOOM ドロップアウト産婦人科医の生活 は な こ の し っ ぽ。 mameta医師の共働き... 医局脱出へのカウントダウン 読影室の片隅から ブログパーツ
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2006年 02月 27日
医療訴訟にはいくつかの機能がある。 一つ目。 医療過誤が存在したのかどうか、またどのような原因でエラーが起こったのか、エラーを防ぐため、エラーからリカバリするためにどのようなことをなすべきか。 医療サイドにとって、失敗は経験だ。人は成功からも学ぶが失敗からも学ぶ。 その経験を緻密に・科学的に検証するという事には医療水準を高めるという意味からも大変意味がある。 二つ目。 医療関連死医療関連障害に関して、結果として患者さんやご家族が失ったものを(決して人命に換えられるものではないが)金銭という形でわずかながらも保証するという機能である。 働き手を失う。妻を失う。まだまだ働けたはずの自分の身体を失う。将来があったはずの我が子を失う。 これらに対して(勝訴になればであるが)金銭的な保証が行われる。 三つ目。 よく言われる「無念を晴らす」という機能。 医療を悪玉に据えることで、かけがえのない家族や自分の身体の一部機能などを失ったという喪失感を怒りに換えて代償する。心理学的なスタビライザーとしての機能。 この三つの機能を一つの裁判で行ってしまっているのが今の日本の医療訴訟では無かろうか。 だから無理が生じる。司法の場に求められる機能とはとても思えない。 これらの機能は、分解するべきだと思う。 一つ目の機能。 医療の中で必ず生じてくるミス・手違い・エラー。これを冷静に分析し、発生確率を低減させるための検討機関は必要だ。 その検討機関はその性格から言っても病理医をはじめとする各科専門医、医療現場のヒューマンファクターを十分検討できるシステム設計の専門家、医療機器メーカーなどの専門家・プロ集団であることが望まれる。 市民代表やマスコミ代表などの、感情を代弁する人々はむしろこういう機関にとっては邪魔にしかならない。アメリカの医療訴訟の勝訴敗訴の結果と、実際のエラーの有無とは全く相関しなかったという驚くべき結果からみても明らかだろう。 二つ目の機能。 これは保険制度が取って代わるべき領域だろう。 現在検討されている無過失保証制度が成立すればよいと思われる。 医療サイドのエラーやミスがあろうが無かろうが関係なく、院内で突然失われた命への保険金を全く分け隔て無く贈与するシステムだ。どのような症例であろうと、失われた分への一定率の保証とするならば、裁判に訴えるよりずっと金銭的な解決は早い。 三つ目の機能。 これは医原性PTSDの治療ということになるわけだが、これはまさに精神科領域の 疾患ととらえた方がよいのではなかろうかと思えている。 裁判所の扱う領域とは違う。 一つ目の機関が公正に運用されればその結果を持って、「明らかに故意に引き起こされた症例」と判定されたならばその時点で刑事事件として立件すればよいと思われる。「明らかな過誤があった症例」と判定されたのならばその時点でどのような過誤がどのような事故へと発展したのかとその対策まで完全に公開されることが原則だ。コスト的な面を含めて現実的な対応策がないものは過誤ではない。避けようのなかった悲劇だ。これを乗り越えるためには医学の発展を待つしかない。 われわれの先人たちはそうやって医学を、医療を発展させてきたのだから。
by fukanju
| 2006-02-27 22:16
| いがくっぽく
|
ファン申請 |
||